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代表:司法書士かわまた法務事務所(担当かわまた)
お知らせ
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おひとり様対策~終身サポート事業者も身寄りのない方の死亡届が可能になりました。
法務省は、身寄りのない高齢者が急増している現状を受け、死亡届を提出できる対象者の範囲を拡大することを決定しました。これまでは親族や家主などに限定されていましたが、今後は生前に契約を結んでいた終身サポート事業者の代表者も手続きが可能となります。この施策は、独居高齢者が亡くなった際、連絡のつく親族が見つからずに事務手続きが停滞する問題を解消することを目的としています。新しい解釈では、故人の自宅への出入りを許可されていた支援者を**「家屋管理人」に準ずる存在として認め、迅速な届け出を促します。この柔軟な対応により、孤独死などのケースにおいても行政手続きの円滑化**が期待されています。
1.終身サポート事業者が死亡届を提出できるようになった背景
主に独居高齢者の増加と、それに伴う死亡届の遅延問題があります。
具体的には、以下の要因が挙げられます。
①届け出人が見つからないケースの増加: 近年、一人暮らしの高齢者が増えており、亡くなった際に死亡届を出す義務がある親族などがすぐに見つからない、あるいは親族がいてもすぐに連絡が取れないといったケースが出てきています。
②迅速な届け出の必要性: 届け出人が見つからないことで、自治体への死亡届の提出が遅れる事案が増えていました。法務省は、事業者を届け出人に加えることで、より素早い届け出につなげることを目指しています。
③実態に合わせた解釈の拡大: これまで戸籍法で提出義務があるとされていた「家屋管理人」の解釈を拡大し、身寄りのない高齢者の入院・入所手続きや生活支援、死後事務などを担う「高齢者等終身サポート事業者」も含まれることになりました。
対象となるのは、生前に本人から家の中への立ち入りを許されていたような事業者です
。法務省の担当者は、届け出人の範囲を広げることで、迅速に届け出がされない現状を少しでも改善したいとしています
2.条件
戸籍法上の「家屋管理人」の解釈拡大によって終身サポート事業者が死亡届を提出できるようになりましたが、そこには特定の条件があります。
対象となるのは以下の条件を満たす事業者です。
①家の中への立ち入りの許可: 生前に本人から家の中への立ち入りが許されていたことが条件となります。
②支援の実態: 身寄りのない高齢者などの入院・入所手続き、生活支援、または死後事務などを担っている事業者であることが想定されています
これまでは、戸籍法で届け出の義務があるのは「同居の親族、同居者、大家や病院長といった家屋管理人」などに限られていました。しかし、一人暮らしの高齢者が増加し、親族が見つからず届け出が遅れるケースが増えたため、上記のような実態のある事業者の代表者も「家屋管理人」に含まれるよう解釈が拡大されました。
3.自治体側のメリット
「家屋管理人」の解釈拡大による自治体側の主なメリットは、死亡届の提出が迅速化され、行政事務の停滞が解消されることにあります。
具体的には、以下の点がメリットとして挙げられます。
①死亡届の遅延の改善: 近年、一人暮らしの高齢者が増えたことで、親族が見つからず死亡届が速やかに出されない事案が増えていました。事業者が届け出人になれることで、こうした「迅速に届け出がされない現状」を改善できることが期待されています。
スムーズな行政手続き: 死亡届が素早く提出されるようになることで、自治体側は火葬の許可や戸籍の整理といった後続の事務処理を滞りなく進めることが可能になります。
②届け出人探しの負担軽減: これまで、身寄りのない人が亡くなった際に自治体が苦労していた「義務者(届け出人)の特定」という課題に対し、実態のある事業者がその役割を担うことで、事務的な混乱を防ぐことにつながります。
法務省はこの解釈拡大により、身寄りがない高齢者の死亡届が遅れるという行政上の課題を少しでも改善したいとしています。
4.運用開始の時期
この「家屋管理人」の解釈拡大に関する事務連絡は、法務省から2025年10月28日付で出されています。
この通知によって、身寄りのない高齢者などを支援する事業者の代表者が、戸籍法上の「家屋管理人」として死亡届を提出できることが明確化されました。
5.事業者が死亡届を出す際に必要となること
①死亡届への記載: 死亡届には、届け出人の署名や住所などの記載が必要となります。
②届け出人としての資格: 事業者の代表者が届け出人となり、戸籍法上の「家屋管理人」として届け出を行うことになります。
なお、今回の解釈拡大により事業者が死亡届を出せるようになりましたが、法務省の事務連絡には、「家屋管理人」であることを証明するための具体的な追加書類(契約書の写しや身分証明書など)についての明示的な記載はありません。
一般的に、自治体の窓口では本人確認書類などが求められることがあります。実際に届け出を行う際の具体的な持ち物については、各自治体への確認が必要になる可能性があります。
6.事業者が死亡届を出す際の注意点
終身サポート事業者が死亡届を提出する際の主な注意点は以下の通りです。
①事業者の代表者が届け出人となる: 届け出を行うのは事業者そのものではなく、事業者の代表者が戸籍法上の「家屋管理人」として届け出人になります。
②「家屋管理人」としての条件を満たす必要がある: すべての事業者が認められるわけではなく、「生前に本人から家の中への立ち入りが許されていた」という実態があることが条件となります。
③業務の実態: 単なる契約関係だけでなく、身寄りのない高齢者の入院・入所手続き、生活支援、あるいは死後事務(死後対応)を実際に担っている事業者であることが想定されています。
④記載事項の遵守: 死亡届には、届け出人(事業者の代表者)の署名や住所などの記載が必要となります。
これらは、親族が見つからない場合などに迅速に届け出を行うための措置ですが、あくまで「家屋管理人」の解釈を拡大したものであるため、上記のような本人との生前の信頼関係や支援の実態が前提となっている点に注意が必要です
7.身寄りがいる場合について 身寄りがいる場合でも、その親族とすぐに連絡が取れないような状況であれば、事業者が届け出を行うことが可能です。
今回の解釈拡大の背景として以下の点が挙げられています。
「頼れる身寄り」がいないケースへの対応: 基本的には、頼れる身寄りがいない高齢者を支援する事業者を想定しています。
親族がいても連絡が取れない場合: 近年では、「親族がいてもすぐに連絡の取れない人」が増えており、届け出人が見つかりにくいケースが出てきていることが指摘されています。
迅速な届け出が優先: 法務省は、親族が見つからず死亡届が遅れる現状を改善し、「素早い届け出」につなげることを目的としています。
したがって、「親族はいるが遠方にいて連絡がつかない」「親族はいるが疎遠で対応が期待できない(頼れる身寄りではない)」といった状況で、速やかに死亡届を出す必要がある場合には、条件を満たす事業者が届け出人になることができます。
8.生前契約は必須条件か?
法務省の事務連絡には、この制度を利用(事業者が届け出人になる)するために「生前契約」という言葉が必須要件として明記されているわけではありませんが、事実上の「生前の合意や信頼関係」が必要となります。
事業者が届け出人として認められるための具体的な条件は以下の通りです。
①立ち入りの許可: 「生前に本人から家の中への立ち入りが許されていたような事業者」であることが条件とされています。
②支援の実態: 身寄りのない高齢者などの入院・入所の手続き、生活支援、または死後対応(死後事務)を担っている事業者であることが想定されています。
つまり、形式的な「契約書」の有無というよりも、生前から本人の生活や死後の手続きを任されており、本人の承諾を得て家に出入りしていたという実態があるかどうかが重要視されています。
一般的に、こうした支援を行う事業者は「生前契約」を締結して業務を行いますが、法務省の解釈拡大の主眼は、あくまで実態のある事業者が迅速に届け出を行えるようにすることにあります。したがって、実務上はこれらの支援内容や立ち入り許可を証明できる状態(契約関係など)にあることが求められると考えられます。
